映画「ペイ・フォワード」感想とネタバレ。恩送りが世界を変える傑作だった

ペイ・フォワード アイキャッチ 映画

 

「もし、自分の手で世界を変えたいと思ったら何をする?」

 

先日友人から「ペイ・フォワード 可能の王国」という映画を勧められ、実際に見てみたらとても感動してしまって。


感動的で優しい気持ちになれる作品でありながら、最後に待ち受ける衝撃に心苦しくなる映画でもあります。

今日はこの映画を見て感じたことを思うがままに書いてみようと思います。

※ネタバレが含まれるのでご注意ください

簡単なあらすじ

母とふたりで暮らしている少年トレヴァーは、学校の授業で個人の力だけで世界を変える方法を考えるという課題を出される。

彼は一人の人間に親切にされたら三人の人間に同じことをするペイ・フォワードというアイデアを思いつき、実践していくことにする。

日本では恩を本人に返す「恩返し(ペイ・バック)」という言葉がありますが、それに反してこの映画は受けた恩を次へ渡す「恩送り(ペイ・フォワード)」を伝える作品。

中学生のトレヴァーが自分の手で世界を変えるために持ち出した案、それこそが「恩送り(ペイ・フォワード)」でした。

小さな学校の小さな1クラスから始まったペイ・フォワードが世界を少しずつ変えていく。そんな物語です。

『もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?』

この問いこそが物語の始まりであり、核となる質問。

その問いに対して中学生となったばかりのトレバーは次の様な案を出しました。

 

「誰かから恩を受けたらそれを返すのではなく、全く別の3人に恩を渡す」

 

つまりこういうこと。

新たに恩を受けた3人はまたそれぞれが別の3人に恩を送る。

これを世界中の人が実践すれば世界は変わるのではないか?という発想です。

恩をそのまま返したら2人の間で優しさの流れは完結してしまいますが、恩を本人には返さず全く別の3人に渡すことによって無限大に広がっていく構図が出来上がります。

恩は本人に返すことが当たり前の認識であった僕にとっては衝撃的なアイディア。

 

ただ、現実はトレヴァーが思うほど簡単に世界を変えることは難しかったのです。

恩送り(ペイ・フォワード)で世界を変えるのは無謀。絶望するトレヴァー

人から恩を受けたら他の3人に恩を渡す。

この案をクラスで発表するも無謀だと言われ、笑われ、気を落とすトレバー。

でも彼のアイディアに可能性を見出したのが社会科を担当していてシモネット先生でした。作中でも語られますが、シモネット先生は過去にガソリンをかけられ全身を大火傷させられるという辛い過去を持ち感情を表に出さない性格になってしまっていました。

 

そしてトレヴァーの母親もDVを受けた過去を持ち、トレヴァーは母親とシモネット先生に恩を送ることに。

母親とシモネット先生がお互いに惹かれ合っていることに気付いたトレヴァーは2人を幸せにしようと懸命に働きかけますがお互い一歩を踏み出せない2人。

自分のアイディアで世界を変えるなんて不可能なんだと落ち込むトレヴァーがそこにいました。

その頃、世界では不思議な出来事が起こっていた

その頃、世界の各地では事故に巻き込まれた記者に突然無償で高級車を送る人、病院で重症な自分が治療を受ける番なのに小さな女の子を優先させて治療しろとナースに指示する人など、一般的には理解不能な優しさを周囲の人に与える人が現れていました。

作品中では後から気付くことになるのですが、無論これはトレヴァーが撒いた種が広がっていったもの。

 

トレヴァーは自分を無力だと思い込んでいたのですが、しっかりと恩送り(ペイ・フォワード)は世界を変えようとしていたのです。

例え「死」せども恩は送り続けられる

この映画が最も伝えたかった部分はここでしょう。

ひたすら優しい気持ちになっていくこの映画の物語ですが、ラストシーンで衝撃が走ります。

それは、いじめられる友達を助けるため、世界を変えるため、勇気をもって複数人の相手に向かっていくトレヴァー。

 

しかし一人の隠し持っていたナイフがトレヴァーの腹部に突き刺さる・・

 

結果、トレヴァーを待ち受けていたのは「死」という悲しい現実。

 

優しさで世界を変えようとしていたトレバーが優しさの届いていない同級生の手によって命を絶たれてしまいます。

悲しさに絶望する母親。そしてシモネット先生。

 

でも、トレヴァーが生み出した恩送り(ペイ・フォワード)の流れはこの時点で既に世界中に広がっており、恩送りが世界から死ぬことは決して無かったのです。

ペイ・フォワードを見て思ったこと・感想

この映画を見た一番の感想としては、やはり最後に主人公のトレヴァーが死んでしまうことへの衝撃。

優しさで世界を変えることを夢見て実際に必死になって行動に移していたトレヴァーの死はとてつもない悲しさを感じました。物語としてトレヴァーを殺す必要あったのか?と疑問にも思います。

 

でも世界を変えようと動き始めたトレヴァーの死後もペイ・フォワードは世界中で行われていて、この時まさにトレヴァーは世界を変えることが出来たのだと確信。

優しさが優しを連鎖させ世界を変えるも、本人はそれに気づかず死んでしまう。

そんな切なさもある非常に良い作品でした。

 

あなたは自らの手で世界を変えるなら、何をしますか?

 

この問いについてあなたもあなたなりの答えを考えてみてください。