映画『こんな夜更けにバナナかよ』感想と評価丨鹿野の生き様は涙なしでは語れない

こんな夜更けにバナナかよ アイキャッチ 感想・評価

 

「映画【こんな夜更けにバナナかよ】の感想、評価が気になる!」

 

そんな疑問に答えます。

✓本記事の内容

  • 「こんな夜更けにバナナかよ」を見た感想や個人的評価書いています

真っ先に結論を言ってしまうと、人間が持つ本来の愛を感じるとても素晴らしい作品で大満足でした。

涙無しでは見られない素晴らしい内容になっています。

評価:★★★★★

 

こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)

 

こんな夜更けにバナナかよ丨あらすじ

2018年12月に映画化したこの作品は実際に難病と闘い抜いた鹿野靖明の生き様を描いた実話を元に作成されています。

鹿野靖明は生まれつき筋ジストロフィーという筋力が失われる難病に侵され自由な生活は困難とされてきました。

そんな時の生きる選択肢としては主に2つ。

  1. 家族からの介護を受け生活するか
  2. 障害者施設に入り生活するか

 

しかし鹿野はこれらの選択肢を受け入れず、3つ目の選択肢を作り出したのです。

それが「自立」という選択肢。

家族の介護を受けず、障害者施設にも入らずに生活することを選びました。

 

ただ、自立と言っても筋ジストロフィーの患者がたった1人で生活することはできません。全くと言って良いほど自力では動けないのです。

そこで鹿野はボランティアに自分を介護してもらい生活することを決意し実行していくことになります。

 

もちろんボランティアに介護をしてもらうなんていう選択は一筋縄にいくわけもなく、本作品では鹿野やボランティアの人々の感情表現が実にリアルに再現されています。

  • 世話をしてもらって当たり前の鹿野の態度に反発する者
  • 鹿野の真っ直ぐな生き様に心動かされる者

泥臭く、そして人間味溢れ、愛に溢れた登場人物の感情が正面から伝わってきます。

難病:筋ジストロフィーとはどんな病気か

先述したように『こんな夜更けにバナナかよ』は実話を元に再現された映画です。筋ジストロフィーという病気の症状や恐ろしさもそのままに再現。

筋ジストロフィーとは全身の筋力が徐々に失われてしまう難病で、歩くことはもちろん立ち上がることも寝返りをうつことさえ自力ではできません。

そして現状は根本的な治療法はありません。

ジストロフィー(きんジストロフィー、英語:Muscular Dystrophy)とは、筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称である。発症年齢や遺伝形式、臨床的経過等から様々な病型に分類される。その内、最も頻度の高いのはデュシェンヌ型である。

引用:Wikipedia

 

作中では、テーブルに置かれたマグカップを手で払い落とせないほどにみるみる筋力が衰えてく様が描写されていました。

進行形の病気であり筋力が戻る確率はほとんどありません。

 

こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)

ワガママだけど愛される鹿野靖明のキャラクターが彼を支えた

『こんな夜更けにバナナかよ』の上映が始まり、真っ先に気に障るのが鹿野靖明のワガママ過ぎる性格です。真夜中にも関わらず、あれ買ってこい、これやれ、などボランティア都合を一切考えない振る舞いに正直見ていてストレスすら感じました。

高畑充希が演じる美咲も、彼の態度に一度は失望し家を飛び出したほど。

しかし鹿野は大勢のボランティアからの信頼を得ていて、愛されているのです。

 

それはなぜか?

 

答えは簡単で、鹿野自身が自分の運命に絶望せず毎日を全力で生きているからです。

  • 海外への夢を諦めず英語の勉強をし続ける
  • ボランティアとみんなでカラオケに行くことを諦めない
  • 介護施設や病院には自由がないと、ボランティアに助けてもらう意思を貫く

美咲も鹿野と過ごす時間が増える毎に彼を見る目が変わり、その生き様を全力で応援するようになります。

 

ワガママだけど助けてもらったことには感謝を忘れない。

人生を諦めない。

強く生き抜こうとしている。

 

このような鹿野が持つ”芯”が人々を魅了し、愛されることとなっていたのです。

『こんな夜更けにバナナかよ』の結末・感想

この映画の結末として、鹿野靖明は自分の人生を全うし2002年8月12日に息を引き取りました。その間鹿野は介護されていた経歴を書いたノート「介助ノート」は95冊にのぼり、自らの人生をこと細かく記録していました。

この映画はそのノートをもとに作られています。

障害者である自分の運命に絶望せず、この先夢を叶えられることを一切疑わずに生き抜いた男の人生を垣間見ることが出来ました。

またボランティアが何も見返りを求めず、ただただ鹿野の助けになりたいと支え続ける姿には人間の本当の愛を感じることもできます。

 

真夜中にバナナを買いにボランティアを走らせる、そんな遠慮のない男でしたが彼の真っ直ぐな生き様にボランティアもつい手を差し伸べたくなってしまう人柄と魅力を感じます。

鹿野とボランティアの人々が支え合い、笑い、そして涙するこの作品をぜひ御覧ください。

 

こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)